1.「あなたにはいっぱい泣かされたわ」
あなたがお腹にいるとわかったとき、嬉しくて泣いた。
あなたを一生懸命産んだとき、苦しくて泣いた。
あなたを初めて両腕で抱いたときにも。
ときにはあまりに幸せで、怖くて、心配で、
あなたを心から想うばかりに、いっぱい涙を流した。
あなたは気がついていなかったかもしれないけれど、
お母さんはあなたの痛みも喜びも、
あなたと一緒に味わい、分かち合ってきたのだ。
2.「実は最後の一切れ、食べたかったな」
おいしいケーキの最後の一切れ、実はお母さんだって、
ちょっと食べたいなと思っていた。
でもあなたの「もう一個ちょうだい」の期待に満ちた
大きな目を見てしまったら、食べられなかった。
自分で食べてしまうよりも、
あなたのかわいいお腹が満たされる方がずっと幸せだと、
お母さんは本能的に知っている。
3.「本当は痛かったのよ」
あなたが髪の毛を引っ張ったとき、
実はけっこう痛かったのだ。
あなたが小さな爪をたててお母さんの腕をつかんだときも、
お乳を飲むときに生えかけの歯で噛んだときも、
お腹の中からキックしたときも、
9ヶ月の間、どんどんお腹が大きくなっていったときも、
そして、あなたがこの世界に出てくるときも。
本当はとっても痛かったのだ。
4.「いつも心配してたの」
あなたがお腹にいるとわかった瞬間から、
お母さんはあなたを守るために全力を注いできた。
お隣の子が赤ちゃんのあなたを抱っこしたいと言ったとき、
本当は断りたかった。
そして抱っこしている間は、
心臓が縮みあがる思いだった。
お母さんにしてみれば、
自分以上にあなたの安全を守れる人など、
この世に存在しないのだ。
あなたが初めて歩いたとき、
嬉しいと同時に心臓が飛び上がった。
あなたが無事に帰ってくるのを夜遅くまで待ち、
あなたを学校に送るために早起きした。
ちょっとつまずいたり、転んだりしたらそばに駆け寄り、
悪い夢や突然出る高い熱からだって、
あなたを守るために常に臨戦態勢。
ただただ、あなたが大丈夫か、心配だった。
5.「完璧なお母さんなんかじゃないの」
お母さんは、ことあなたの母親として自分自身を見るとき、
とてつもなく辛口だ。
常に母親として欠点だらけだと自覚していて、
ときどきそれで自分が大嫌いになる。
あなたには何一つ間違ったことをしたくないから、
完璧なお母さんでありたいと願う。
でもお母さんは人間だから、やっぱり間違える。
お母さんはあなたが大きくなった今も、
あのときの間違いをときどき悔やんでいる。
できることなら、あのときに戻って
もう一度あなたのためにやり直したいと思っている。
でもそれは叶わぬ話。
あのときのお母さんは、できる限りの知恵と力を振り絞って、
あなたのためにベストを尽くしたのだ。
それだけは心に留めておこう。