本日は、TEDでの心理学者・幸福専門家の
Dan Gilbert(ダン・ギルバート) 氏のスピーチをご紹介します。
 

人はなぜ、将来後悔するような選択をしてしまうのでしょうか。

10代でお金を払って入れたタトゥーを青年期で大金をはたいて消そうとしたり、

若い頃に急いで結婚した夫婦は壮年期では必死で離婚しようとします。

心理学者のDan Gilbert(ダン・ギルバート)氏は、それらの疑問を解明するために、

様々な世代に今までの10年間と今後10年後の将来像について質問しました。

すると、今までの10年間については大きな変化があったことを認識しているのにもかかわらず、

未来の10年の変化については過小評価しているという結果が出たのです。

諸行無常という言葉があるように、人も変化する、うつろいゆく生き物であることを自覚することで、

将来に対する解釈も変わってくるのではないでしょうか。(TED2014 より)

 

なぜ、将来後悔するような決断をしてしまうのか?

 

人生のあらゆる段階で、私たちは今後の人生に大きな影響を与えるかもしれない決断をしますが、

時が経ってみると、必ずしもその決断がワクワクするようなものではなくなっているということがあります。

青年期には、10代の頃にお金を払って入れたタトゥーを除去するために大金を払います。

壮年期には、若い頃に急いで結婚した人たちが急いで離婚してします。

高齢期には、壮年期に一生懸命得ようとしたものを一生懸命減らそうとしています。

などなど。心理学者の私の心をとらえる疑問は、

「私たちはなぜ、しばしば将来後悔するような決断をしてしまうのか?」ということです。

私がその理由の1つとして考えていることは今日、あなたを納得させられるでしょうか?

私たちは、時間の力に対して根本的な思い違いをしているということです。

みなさんご存知のように、人生全体を通して、変化の速度は遅くなっていきます。

つまり、子どもたちは分刻みで変わっていくのに対し、親たちは1年ごとに変化するように思える、という風に。

 

人は次の10年間の変化の大きさを過小評価する

 

しかし、突然、変化の速度が急速に減速する人生における魔法のポイントは一体どこにあるのでしょう?

10代でしょうか? 壮年期? それとも、高齢期でしょうか?

ほとんどの人にとって、その答えは、いつであれ「今この時」だと言えます。

今、まさに起こっているのです。

今日あなた方に納得してもらいたいことは、私たちはみんな幻想の中を歩いているということです。

歴史、私たちの個人史がちょうど今その終端にあるという幻想です。

私たちが「つい最近、常に変わらない人格になったところであり、

それはまた残りの人生においても変わらない」という幻想です。

この主張を支持するデータをお見せしましょう。

 

これは人生における個人の価値観の変化についての研究結果です。

ここに3つの価値観があります。

皆さん、この価値観を持っていると思いますが、おそらく、成長するにつれて、年をとるにつれて、

この3つの価値観のバランスはシフトするのではないでしょうか。

では、どのようにシフトするのでしょう?

そこで数千人に質問をしました。

半数の人には「この価値観のバランスが次の10年間でどれくらい変わるか予測してください」と尋ねました。

残りの半数には、「この価値観が最近10年間でどれだけ変わったか教えてください」と質問しました。

これによって、大変興味深い分析を行うことが可能になりました。

というのも、これによって私たちは人びとの予測を比較することができるようになったからです。

例えば、18歳と28歳になった人びとの報告を比較することと、人生の全期間を通したこのような分析です。

これが私たちの発見です。

まず1つ目、みなさん正解です。

変化は年をとるにつれて小さくなります。しかし、2つ目はみなさんの間違いです。

およそ私たちが考えているよりは遅くならないのです。

全ての年齢層で、私たちのデータでは18歳から68歳で、

人びとは自分が経験する次の10年間の変化の大きさを大幅に過小評価します。

私たちはこれを「歴史の終端」幻想と名付けました。

この効果の重要さを考えてもらうために、この2つの曲線を結んでみてください。

これは、18歳の若者が推測する変化の度合いは、実際50歳の人が経験する変化と等しいことを表しています。

さて、これは価値観だけの話にとどまりません。

あらゆる他のことについても言えるのです。

例えば、個人の性格についても。

 

好きなミュージシャンも付き合う友人も10年で変わる

多くの人がご存知のように、今日、心理学者によると、

性格には5つの基本的な特性、神経質性、開放性、調和性、外向性、勤勉性があると言われています。

再び、私たちは、次の10年間でこの特性がどれくらい変わると思うか、

また、この10年間でどれくらい変わったかという質問をしました。

発見したのは、みなさんお馴染みのこのグラフです。

年をとるにつれ変化の速度は遅くなるが、

全ての年代で、自分の性格が次の10年間でどれくらい変わるかについて過小評価している、というものでした。

この現象は、価値観や性格といった一過性のものだけに当てはまるものではありません。

皆さん、周りの人に好き嫌い、基本的な嗜好について尋ねてみてください。

例えば、親友や大好きな休暇の過ごし方、大好きな趣味、お気に入りの音楽などの名前を。

聞かれた人たちはそれらの名前をあげるでしょう。

私たちは、半数の人に「次の10年間でそれらは変わるでしょうか?」と尋ね、

残りの半数に「過去10年間でそれらは変わりましたか?」と尋ねました。

私たちが発見したことは……もう2回も見ましたね。

またもやこれです。

人びとは、今の友人は10年後も友人だと思っており、

今最も気に入っている休暇の過ごし方は、10年後も大好きだと思っているのに対し、

10歳年上の人たちは、皆一様に「ああ、ずいぶん変わったよ」と答えたのです。

これは一体どういうことなのでしょう? これは単なる結果と異なる誤った予測の一形態なのでしょうか?

いいえ、これは少し違います。

このことは、重要な意思決定を混乱させます。

今まさに、現在のお気に入りのミュージシャンと10年前に好きだったミュージシャンを頭に浮かべてください。

 

さて、私たちは人びとに

「現在お気に入りのミュージシャンのコンサートを10年後に観るとしたら、今いくら払いますか?」と尋ねました。

皆さん、そのチケットに平均129ドル払うと答えました。

一方、「10年前大好きだったミュージシャンを今観るのにいくら払いますか?」と尋ねたところ、

彼らの答えはたった80ドルでした。

人生で唯一変わらないものは「変わる」ということ

さて、完全に合理的な世界であれば、これらは同じ金額になるべきですが、

われわれは、自分の嗜好の変わらなさを過大評価するゆえに、現在の好みを満足させるために払い過ぎてしまうのです。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

完全に確信を持っているわけではありませんが、

おそらく、記憶の消失と想像することの難しさの対比に関係がありそうです。

私たちのほとんどは、10年前のことを思い出すことができますが、

将来どうなるかを想像することは難しいことを知っています。

その想像の難しさゆえに、変化が起こらないだろうという誤った思い込みをしてしまいます。

残念ながら、人が「そんなことは想像できない」と言うとき、

通常、自分の想像力の欠如について言及しているわけで、「描いている出来事が起こりそうもない」と

言っているわけではありません。

つまり、時間はとても大きな力を持っているということです。

時間は私たちの好みを変え、価値観を再形成し、性格を変えます。

私たちはこの事実を正しく評価できそうに思いますが、それは回想においてのみです。

私たちは過去を振り返るときにのみ、10年間でどれだけの変化が生じたかを理解するのです。

私たちの多くは、まるで今が特別な時間(マジックタイム)であるかのように思っています。

今があたかもタイムラインにおける特別な時間であるかのように。

今この瞬間に、最終的な自分自身になったのだと。

人間は自分は完成品であるという間違った思い込みを持った未完成品なのです。

今この瞬間のあなたは、かつてそうであったあなた自身と同様、うつろいやすく、はかない一時的な人間なのです。

人生で唯一変わらないものは「変わる」ということなのです。

10年後の自分が今、以上に幸せな自分であるために
心を積極的に保って、変わっていきましょう!!

 

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