わかりやすい説明を聞くと成績が伸びる・・のは『偽』説。
前提となるお話を2つ致します。
まず、大昔に紹介したこともある『ラーニングピラミッド』は覚えていますか?
簡単に言えば、同じ単元の勉強でも、それを『体験』すれば75%の割合が記憶に残るのに対し、『講義』という形式でインプットすれば5%しか定着しないという意味です。
理科の化学反応について、実際に自分で実験を再現するのと、その話を聞くのとでは、雲泥どころか天と地くらい効果が違う、という感じですね。
―では、『わかりやすい”説明”』とは、この項目のどれに該当するでしょうか?
そう、突き詰めれば『講義』なのです。つまり、僕らの全力講義は、工夫ゼロだと95%がスルーされているも同じということ!
いやー、これは冷厳な事実ですねェ・・・。
そしてもう一点の話として、『ファインマン効果』について伝えたいと思います。
https://hamamuratakuo.blog.fc2.com/blog-entry-1073.html
ファインマンとは、アメリカの著名な物理学者のことです。
この方の講義は、ユーモアに富み、説明も軽快で非常にわかりやすいことが定評だったそうです。
―これだけ聞けば、講師の模範みたいな話ですが・・・。
後日聴講生に追試をしてみたところ、その正答率は驚くほど低かったそうなのです。これはなぜなのか?
仮説の域は出ないのですが、その説明がわかり易すぎた結果、聴講者全員がわかった気になり、復習を完全に怠ったからだと言われています。
こういったエピソードを聞くと、僕らの手応えや常識って、まるでアテにならないと認識させられますね・・・。
ということでまとめると、
①そもそも『講義』は工夫がないと、記憶に5%しか残らない!
②わかり易い説明は、『わかった気』を生みやすく、復習をサボりがち!
という風になるわけです。
これらを考えると、『わかり易い説明だけ』で成績を伸ばすのは、ぶっちゃけ無理ゲーという風に聞こえますね・・・。
だからこそ、この辺の心理は意識して打ち砕く必要があるわけです。
しかし実は、自分が『わかった気』になっていないか、聴講者が『わかった気』になっていないかを判断する方法は非常に簡単です。
その方法とは、『テスト』です。
例えば東進衛星予備校も、わかり易い説明がウリなのはもちろん、それにプラスして受講後のテストが必須となっています。
これはおそらく、『わかり易い説明だけで成績が伸びるほど甘くない』とわかっているからではないかと考えられますね。
だから僕も、授業時間全てが説明で終わるようなことは、絶対に無いよう意識しているくらいです。
とはいえ、わかり易い説明とは、勉強に対するモチベーションを生む要因の一つに間違いはありません。わからなかったことがわかる感覚は、やはり非常に気分が良いです。
しかし、それもまた一長一短。緩急をつけた授業を運営せねば、生徒のためという一心が負の方向に作用しかねません。
皆さんも自学の際には、『解説を読んでわかった気になった』みたいなことが起きていないか、ちゃんと演習を通じて確認するようにしてください。
では、ここまでお読みいただきありがとうございました!!