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なぜ武蔵は試験に「おみやげ」を出すのか?そこに込められたメッセージとは!?

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山口市・宇部市の学習塾「かわしま進学塾」の野上です。

今週は山口ではほぼ毎日のように私立入試が行われています。
センター試験や私立入試、そして公立入試の日は寒かったり、雪がチラついていることが多いように感じます。

インフルエンザも流行っているので、うがい・手洗いなど健康管理には十分注意して、万全の態勢で入試に挑みましょう!

 

さて、今日は入試にちなみ、「武蔵」と呼ばれる中高一貫校の入試にまつわる内容です。

東京都練馬区にある名門校「私立武蔵高等学校中学校」。同校の中学入試には“おみやげ問題”という名物問題があります。
ネジや画びょうなどが配られ、出題文には「持ち帰りなさい」と書かれている。かつてはみかんを配ったこともあったそうです。

なぜこんな「面倒くさい」ことをするのか。

理科の入試では、その場で「本物」を観察させる

2017年度武蔵中学校入学試験、理科の大問3。受験生には問題用紙だけでなく、小さな封筒が配布される。
その中に、2本のネジが入っている。それをよく観察して、問いに答えるのだ。袋の中に、形の違う2種類のネジが1本ずつ入っています。
それぞれのネジについて、違いがわかるように図をかき、その違いを文章で説明しなさい。ただし、文字や印、傷などは考えないことにします。
(試験が終わったら、ネジは袋に入れて持ち帰りなさい。)

B4のわら半紙の上のほうに3行の問題文が書かれており、それ以外は余白。そこに自由に図を描き、違いを説明する。
もちろん武蔵の受験生たちはこれが武蔵名物の「おみやげ問題」であることを知っている。試験終了後、その“もの”を持ち帰るので「おみやげ問題」と呼ばれている。

1922年の第1回入試では3枚の木の葉が配布され、「与えられた3枚の葉をしらべて異って居る諸点をあげなさい」となっていた。
毎年必ず「おみやげ問題」が出るとは言い切れないが、ほぼ定番化している。これまでに、マグネットシート、画びょう、キャスター、ファスナーなどが“おみやげ”になっている。梶取弘昌校長が武蔵を受けたときには、みかんが配られ、試験中にそれを食べてしまった受験生もいたという。

というわけで、12歳の小学生になったつもりで、冒頭の問題を実際に解いてみよう。

武蔵が公式に発行している「武蔵中学校入学試験問題」の冊子に掲載されている解答例はコチラ。

解答はとてもシンプルで、問われていることに端的に答えればいい。
図に関しても、美術の試験ではないので立体的に模写したり陰影をつけたりする必要はない。
冊子の「講評」には、「受験生の多くが、2種類のネジの違いを認識できていることは伺えたが、『情報を正確に伝える』ことが不十分である答案が多かったのは残念である」と書かれていた。

武蔵には、毎年入試問題に込めた意図や解答例および受験生たちの答案への講評を冊子にまとめて公表する。その理由は、入試問題こそ、学力観・教育観の表明であるという考えがあるからだ。400ページを超えるDVD付きの記念誌をつくるほど、入試問題への思い入れは強い。

特に「おみやげ問題」には武蔵の学力観・教育観が凝縮されている。入試のその場で、本物を観察して考察する。予備知識はほとんど必要ない。
先入観をもたず素直に観察し、気付いたこと考えたことを述べればいいのだ。

「おみやげ問題」には、そのようなことを楽しいと感じられる子供を育てたいというメッセージが込められている。

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