まずはインプットを「整理」し、「煮詰める」
さて、勘のいい方ならもうお気付きかもしれませんが、実は「自分の意見を作る」というのは、非常にいいアウトプットになるのです。
「自分の意見を作る」=「非常にいいアウトプット」だということを説明するために、意見の作り方の3ステップを紹介させてください。東大生の「意見の作り方」を調べたところ、自分の意見を作る上でだいたい3つのステップを経て作っていることがわかりました。実はこの3つのステップが、「自分の頭で考える」ということを推進してくれるのです。
(1)思考
まず、自分の意見を考えるとき、最初に前提をきちんと自分で整理する必要があります。
「増税についての意見を求められたけど、そもそもなんで増税が必要だったんだっけ? 背景をきちんと整理しておこう」「源氏物語の一番のヒロインを考えるわけだけど、どんなヒロインがいたんだっけ? ツンデレなタイプと尽くしてくれるタイプとに分けられるかも」というように、前提を整理しなければ意見なんて作れません。
まずはこの過程で、インプットしたことを整理することができるようになります。(2)判断
そうやって前提を整理した上で、物事を判断します。
増税に関してなら賛成なのか反対なのか、源氏物語のヒロインなら誰が一番なのか、選ばなければなりません。そしてそれを選ぶ際には、きちんとその事柄について自分の頭で考える必要があります。増税に関してもヒロインに関しても、熟知した上でないと判断ができないわけです。
この過程で、インプットしたことを煮詰める必要が生まれるのです。意見を作るステップは新しい入試で問われる力と同じ
(3)表現
そして最後に、そうやって選んだ事柄を肉付けして、相手に伝わりやすく、相手に説得しやすいような表現を作る必要があります。
「増税に関して自分は反対だ。なぜなら3つの理由があって、1つは……」「源氏物語で最高のヒロインは花散里だ。まず源氏物語にはツンデレなタイプと尽くしてくれるタイプがいるが、このうちツンデレなタイプはこういう特徴があって……」と、相手を説得できるだけの情報を整理し、そして伝わりやすいように自分の頭で考える必要があるわけです。
この過程で、インプットをアウトプットへと変換することで自分の頭で考えることができるようになるわけです。いかがでしょうか? 意見を作る時、私たちはインプットしたことを何度も何度も咀嚼しているのです。意見を考える中でこそ頭が良くなっていると言っても過言ではないでしょう。
そしてこの3つのステップは、実はそっくりそのまま、2020年入試改革で問われる「思考力」「判断力」「表現力」に繋がります。自分の意見を作る際には、自分の頭で思考して情報を整理し、その思考を元に自分で正誤や功罪・善悪やメリットデメリットを判断し、そしてそれを相手を説得できるような形で表現する。
思考し、判断し、表現するという全てを兼ね備えているのが意見を作るという行為であり、だからこそ2020年入試改革の対策として一番適している訓練方法だと言えるのかもしれません。
これからの時代は自分の意見がないと生き残れない
今までの時代というのは、「出る杭は打たれる」で、意見や自分の考えなどなくても従っていればいい世の中でした。しかし、そうした「ただ従うだけ」の単純労働はロボットやAIの方が人間より優れていて、人間に勝ち目がないわけです。
これからの変化の激しいVUCAの時代は、きちんと自分の意見や自分の考えを持って、それを発言できる人こそが求められています。「出る杭」こそが求められるということですね。
そう考えてみると、「自分の意見を作る」というのは時代にあっていることだと言えます。特にこの変化していく激動の時代を生き抜かなければならない高校生たちは、自分の意見を作る訓練をどんどんしていくべきなのではないでしょうか。高校は義務教育ではありませんし、2015年からは18歳に選挙権が与えられるようになりました。つまりは、高校生は自分でいろんなことを考え、判断する「大人」でなければならないというわけです。
もしかしたら2020年入試改革は、高校生に「大人になれ」と言っている改革だと言ってもいいのかもしれません。
もちろんこれは僕の勝手な考えですが、しかし自分の意見を作るというのが学習効果が高く、これからの時代にも合っているというのは間違いないのだと思います。みなさんもぜひ、「自分の意見」を持つということを挑戦してみていただければと思います。
引用:PRESIDENT Online
これから加速する入試改革。
学習要領もそうですが、大学入試から高校入試、中学入試へと順に変化が出てきます。
これから子どもたちに求められていく力がどんなものなのかを知るご参考になれば幸せます。