指定校推薦を利用する学生が激増?
安田常務は、安全志向が強まっているもう1つの理由として、今年は例年以上に指定校推薦やAO入試・推薦入試を利用して合格した受験生が大幅に増えた可能性があることを挙げる。
「大学関係者に話を聞くと、例年以上に指定校推薦の応募がたくさんきたと話しています。これまでは大学から高校に指定校推薦の枠を出していても、進学校の場合は応募がないという状況が当たり前でした。それが、今年は応募してくる学校が増えたそうです」
指定校推薦の場合は、受験すればほぼ100%合格できる。偏差値で中堅から下位の大学は、これまで推薦を出しても、受験する学生は多くなかった。それが、推薦を利用する受験生が増えると、一般受験での合格者を減らさなければならなくなる。その結果、それらの大学でも狭き門になってしまうのだという。
前出の高校でも、すべり止めとして受験を薦めた大学が、指定校推薦でかなりの人数を合格させていたことを、あとから知ったという。
「ある大学は例年合格している偏差値帯の生徒が受けても、今年はことごとく不合格になりました。その原因は、今年は定員の半分近くを指定校推薦で確保していたためだ、と聞き、なるほどと思いました。MARCHを含め、多くの大学が推薦を増やす傾向にありますし、一般入試だけでの進路指導はこれから難しくなると感じています」
大学通信の安田常務も、高校から悩みを聞いている。
「中堅クラスの進学校では、特進クラスの生徒はほとんど一般入試で受験をします。しかし、今年は、指定校推薦やAO入試などを積極的に活用した一般クラスの方が、最終的に特進クラスの進学成績を上回る、というケースも出てきているようです」
来年はさらに難化?
指定校推薦を積極的に活用するほど安全志向が高まった背景には、これまでの合格者数の抑制に加えて、2021年に控えた大学入試改革の悪影響がすでに出始めていることが挙げられる。
大学入試は2021年の試験で、大学入試センター試験に代わって大学入学共通テストが導入される。英語では外部検定試験の導入も始まる。つまり、来年の受験生は、翌年から受験の制度が大きく変わるため、「浪人したくない」という思いが強く、安全志向が強まる可能性がある。その傾向が、すでに今年の受験生にも見られたのだ。
安全志向が強まったきっかけは、入学定員管理の厳格化であることは間違いない。さらに昨年には「地方創生」の一環として、東京23区内にある大学は今後10年間定員の増加を認めないことなどを盛り込んだ法律が成立した。
こうした政策の悪影響と、大学入試改革が重なり、来年は首都圏の私立大学のさらなる難化が予想される。そして再来年以降はどうなるのか、まったく予想もできない状況だ。
国の政策に振り回された受験生はたまったものではない。大学通信の安田常務は、厳しい状況を理解した上で、志望校の合格に向けて勉強した方がいいとアドバイスする。
「入学定員管理の厳格化は、大変罪作りな施策だったと思います。一番迷惑を被ったのは、首都圏をはじめとする大都市圏の受験生です。思いつきのように始まった政策で、受験生が受けている迷惑は計り知れないものがあります。
しかし、不安になりすぎるのも問題です。どの偏差値帯の大学も難化していますので、受験生は安全策ばかり考えて入れる大学を選ぶよりも、自分が入りたい大学を選んでチャレンジした方がいいのではないでしょうか」
今年の受験生は「追加合格」に注意
ところで、入試はほぼ終わりを迎えたが、志望校に合格できなかった受験生も、3月末までは追加合格の可能性がある。
私立大学では昨年から補欠合格が多く出るケースが目立っている。補欠合格候補者の通知をもらっている人はもちろんだが、中には大量に入学辞退者が出た大学で、補欠合格の候補者になっていなくても追加合格するケースがあるという。昨年にも増して難化が進んだ今年は、大学が補欠合格候補者を多めに出している可能性もある。
合格を通知する方法は、大学によって違う。電話をかけてくる大学もあれば、郵送やメールで連絡が来る場合もある。昨年は追加合格を出したものの、届いた郵便物を放置するなどして、気づかなかった受験生もいた、と大学関係者は話している。過度な期待はできないにしても、補欠合格や追加合格の可能性は頭に入れておいた方がよさそうだ。
引用元:現代ビジネス(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63635)
いかがでしょうか?
記事の通り、高1から評定をしっかりと取って、指定校推薦を視野に入れておくのもひとつの手。センター利用や一般受験で私立大学を選ぶときは、難易度ランキングを鵜呑みにするではなく、「難化していること」を念頭に慎重に選びましょう。