まず、タイトルにある『フェルマーの最終定理』とは何なのか?
この定理の歴史は、なんと今から約380年前にさかのぼります。
当時、フランスに『ピエール・ド・フェルマー』という一人の数学者がいました。(ちなみに彼の本業は弁護士です)
彼は本業の傍らで数学の研究を進め、数多の独創的な論理を発見・構築しています。
そんな彼が、自身の使っていた数学書に書き残したとあるメモ。
それこそが、後世、『フェルマーの最終定理』と呼ばれるものです。
内容はコチラです。
立方数を2つの立方数の和に分けることはできない。4乗数を2つの4乗数の和に分けることはできない。一般に、冪(べき)が2より大きいとき、その冪乗数を2つの冪乗数の和に分けることはできない。この定理に関して、私は真に驚くべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる。
・・・正直、文字で書かれたらさっぱりです。言い換えると、こうなります。
nが「3より大きい数」であるとき・・
xn + y n= z n
これを満たす数「x,y,z」の組み合わせは存在しない。
―という”定理”です。(証明が残っていないので、実質”予想”なのですが・・)
※余談ですが、nが2の場合は、「x,y,z」をそれぞれ「3,4,5」とすると、
32+42=52(9+16=25)となって条件に合致!
とりあえず、中2~中3の数学を知っていれば、この定理が言いたいことはおそらく分かると思います。
しかし、実際に証明するとなれば全くの別物!!
式そのものの理解は決して難解ではないのに、挑んでみると歯が立たない。
この異質とも言える定理を証明すべく、数多の数学者がこれに挑み・・そして敗れていったのです。
そしてこの問題が実際に解かれるのは、何と1995年!実に、350年以上の歳月を要したのです!
(この難問を証明したアンドリュー・ワイルズは、7年もの間、秘密裡にそれを練り上げ続けたとのこと・・)
さて。
僕がオススメする『フェルマーの最終定理』の内容は、『それに挑んでいった数学者達のドラマ』です。
数学者たちが何を考え、どう最終定理に立ち向かい、その軌跡がどこでリンクし、そしてワイルズへと繋がっていくのか・・
教科書には載っていない熱いストーリーは、読んでいて本当に楽しいです!
・・とはいえ、そこだけ述べると、数学アレルギーの方から、こんなコメントが聞こえてきそうです。
「方程式とかキツい・・」
「ちょっとアルファベットとかしんどい・・」
「点Pが動くのなんでなの?」
・・しかし、ご安心(?)を!
この本にはなんと、『難解な計算式や数学用語がほぼ登場しない』のです!
論理的な説明や、巧みな例えが駆使されており、数学が『言葉』で分かります。(ただ、理解しきれなくても、読解に影響はありませんでした)
とはいえ、やや難問にあたる計算式は、付録として証明と共に最後にまとめてあり、数学が大好きな方でも楽しめると思います。
そして、もう1点お伝えしたいのが、『その物語の重厚さ』です。
現代の数学だけが出てくるのではなく、数学そのもののルーツから話が始まるのです。(何と約3000年前!から)
そこから誰の手で、どういう目的により、『数学』が発展してきたのか・・という風に、『数学史』も詳細に書かれています。
歴史。人物。数学。
膨大な資料が一冊の中へとても精巧にまとめられており、文量以上の読み応えがあります!
・・というわけで、繰り返しになりますが。
『数学者達の熱きドラマ』を描いた『フェルマーの最終定理』、興味がありましたら、是非読んでみてください!