『えのない えほん』の翻訳者のおもい
『えがないえほん』の翻訳を手掛けた
のは、全国で年間250本もの
「マジックと音楽と絵本ライブ」で
読み聞かせを行っている大友剛さん。
発売を前に、18カ所、約2,000人の
子どもをモニター読者として
読み聞かせてきたところ、
いずれの場所でも子どもたちの笑いが
止まらなかったそうです。
大友さんは、このように語っています。
アメリカの絵本の紹介文では、
このようなことが書かれていました。「大人はいつもしつけをしたり、教育したり、偉そうなことばっかり言っている。でも、そんな大人が『は?』っていうおバカなことを言い始めるところに、子どもがゲラゲラと笑う」。
大人が絵本に"言わされている"と
いう設定が、子どもの笑いを誘うのだ
と思います。例えば、いつもは偉そうなお父さんが
「おしりぶ~ぶ~」ってイヤイヤ
言わされていたら、面白いですよね。一見、読み方に技量が問われそうです
が、小さく書かれている文字は
「普通の自分」、大きく書かれている文字は
「言わされている自分」という設定で
うまく台本が書かれているので、その通りに読めば大丈夫です。
学校では勉強、家では宿題、親からは
「脱いだものを片付けなさい」とか
「ごはんはきれいに食べなさい」と
言われる日々。それはそれで大事なことなんですが、
子どもって本能的には「自由になりたい」とか
「殻を破りたい」という
気持ちを持っていると思うんですね。
この絵本を読み聞かせている間は
自由な時間。子どもにとって、体も心も解放できる
時間になるのではないでしょうか。結局、文字というよりかはサウンドだ
と思うんですよ。読み聞かせをすると、年長さんは文字
を読みながら笑ってくれるんですけど
、3~4歳は僕が読み聞かせるだけで
「ドッカーン」となりますwww前後脈略もなく「おしりブーブー」っ
て出てくるのもおもしろいですよね。小さな子どもって例えば、
自分の排泄物に対して、喜びや発見、
神秘や感動を感じているそうです。そもそもこのような下品な言葉って
本来は汚いことではなくて、人間が生きていくうえで
大事なものばかりです。こうやって絵本で読んで親子で
言葉を共有することは、
大切なのではないかと僕は思います。絵本では読み聞かせを聞いている
子どもたちに対して「人類の歴史の中で一番素晴らしい子どもである」
と伝えている部分があるんです。
さらに言うと、"下品な言葉"は、
"人を傷つける言葉"とは全く違って、
むしろこの本は全体を通して著者ノヴァクさんのセンスと子どもへ
のリスペクトが感じられます。読めば読むほど、大人が関心する
ような内容になっていると思いますよ。