今は昔、実家の前に広場ありけり。広場では少年たちが毎日集まり野球をやりけり。少年かわしまもその一人。ホームランはこの有刺鉄線向こうの倉庫。少年たちはみんな、この有刺鉄線を超え、ボールを取りに不法侵入していた。僕が親になったとき、そんな姿を見守れるだろうか?子供が有刺鉄線を超えるなんて危険極まりない。でもあの頃の少年たちは多少の切り傷なんてへっちゃらだった。倉庫のおっちゃんに怒られる方が怖かった。悪いことをして怒られ、悪いことの限度を知る。昔のおっちゃんは本気で僕らを怒ってくれた。だから、ちょっとグレた奴ら ...