『あなたに生かされました』 いつからだろう。 毎年7月18日、父は会社を休む。 母は美しい花を買って、二人で どこかに出かけるのだ。 どこへ行くんだと俺が尋ねても、 ちょっとねとお茶を濁す。 そそくさと礼服に着替え、 それはそれは不思議な1日が 毎年続いていた。 そんな俺ももう高校三年生。 何となく教師になりたいなどと 夢を持っていたが、家には金がない。 意地でも国公立に行けと 親には言われてる。 しかし、 今日も希望校への判定は「D」。 むしゃくしゃしてリビングで、 父の煙草を一本拝借。 火を付けた瞬間 ...